2019年10月30日から5日間、パリで開催された、世界最大のチョコレートイベント「Salon du Chocolat」(サロン・ドゥ・ショコラ)」。
1995年にパリで生まれたこのイベントは、ただの見本市、販売会ではなく、ファッションショーや、権威ある団体が決める授賞式、ショコラティエの講演&デモンストレーション、チョコレートの世界大会の決勝戦など…多くのコンテンツを持つ一大フェスティバルです。
特に、2019年は25周年…という事で、例年にはない「C.C.C.(世界的なチョコレート愛好家クラブ)」より選出された受賞者をさらに絞り込み100のショコラティエを選出、「Les Meilleurs des Meilleurs(the Best of the Best)」賞の発表も行われるなど、大変盛り上がりました。
日本ではあまり知られていませんが、なんと、その100のショコラティエ…選出された人数で言えば、本場フランス次いで多いのが日本人。

サロンドロワイヤル リリースより
そんな、「サロン・デュ・ショコラパリ」における日本人の奮闘の様子が、2020年2月11日NHKBS1「チョコレートで世界を変える日本人たち」にてオンエアされました。
この記事では、「チョコレートで世界を変える日本人たち」で紹介された3つのブランドについて詳しく解説しています。
メリーチョコレート(トーキョーチョコレート)
日本式のバレンタイン文化を広めたと言われる、日本の老舗チョコレートメーカー「メリーチョコレートカムパニー」。
そのメリーチョコレートの最高級ラインが、大石茂之シェフを中心とした「トーキョーチョコレート」です。

2015年パリにて撮影
大石さんは1995年に入社。大学で学んだ「発酵学」をいかせるのでは?とチョコレートの会社を選んだそう。
そんな、理系の大学で乳酸菌を調べていた大石さんが、ショコラティエに転身するきっかけとなったのが、2000年「サロン・デュ・ショコラパリ」の遠征メンバーに選ばれた事。
初めてのパリで衝撃的だったのは、会社が満を持して作成した「抹茶のガナッシュ」がフランス人に全く受け入れられなかったこと。ここから、彼らの挑戦が始まりました。
2016年には、干し柿など和の素材を使ったボンボンで金賞を受賞。世界に認められるブランドに。
現在も、「日本人が食べて美味しい物はフランス人にとっても美味しい。無理に寄せなくていい」という考えの元、和を活かしたチョコレートで人気を博しています。
現在海外のショコラティエの間で、日本の食材が「Maccha」「Sake」「Yuzu」として人気なのも、トーキョーチョコレートの影響が少なからずある様子。
さて、2019年「サロン・デュ・ショコラパリ」開幕に先駆けて開催された、25周年記念式典では、新作の「玄米茶と生姜」のショコラ、代表作MI-NA-MOの新作「梅酒」をプレゼンテーション。
そのショコラに出羽桜 純米大吟醸「一路」と抹茶をアレンジした日本酒のチョコレートカクテルをマリアージュさせて提案しました。
冒頭で書いたC.C.Cによる「世界を代表するショコラティエ」の表彰式では「モダンな日本的感性にあふれている。それは東京の街が持つ独特の美意識によって生み出された」と評されました。
サロンドロワイヤル
「サロンドロワイヤル」は、1935年創業(設立は1958年)の、大阪府大阪市東住吉のチョコレート製造・販売会社です。
2012年、かねてより「店舗を構えたい」「世界を目指したい」という希望を持っていた「サロンドロワイヤル」と、日本を代表するパティシエ・ショコラティエである垣本晃宏さんがタッグを組み「サロンドロワイヤル京都」をオープン。
このオープンを機に、新しく考案したボンボンを数多く発表、新たな路線を開拓、ショコラファンにも知られる存在となりました。
2019年「サロン・デュ・ショコラパリ」では、パッケージに鹿が描かれたビジュアルが印象的な「結 ~Musubi~」を発表。
入っているのは「華 ~Hana~」、「珀 ~Haku~」、「萬 ~Yorozu~」、「椒 ~Shou~」の4粒で、それぞれ、玄米黒酢、黒糖、日本酒、万願寺唐辛子、花椒や鷹の爪など、和の素材がテーマになっています。
会場には、京都から持参した本格的な茶道具と茶室のセットで、来場者にその世界観ごと提供。好評を博しました。
C.C.Cによる「世界を代表するショコラティエ」の表彰式では、「チョコレートの長い歴史にアートの風を吹き込んだ。日本の文化と独特の食材を駆使したまるで繊細な芸術作品のようだ」と評されました。
ダリケー
ウオール街出身の元金融マン…という異色の経歴を持つ青年が、インドネシアのカカオに興味を持ち、その素晴らしさを広めるため立ち上げたチョコレートブランド「Dari K(ダリケー)」。
世界有数のカカオ生産国でありながら、その正しい扱い方を知らないが故、今まであまり注目されていなかったインドネシアのカカオ豆を使っています。
代表は、吉野慶一さん。
「サロン・デュ・ショコラパリ」には2015年から参加。
2018年からは、「ダリケー」のセカンドブランド?的な位置づけの「The Obroma 990(ジ・オブローマ 990)」で提供している、その場で作るチョコレートドリンクをプッシュ。
カカオ豆の消費をさらに伸ばすためにも、出来立てのチョコレートを知ってもらう事が重要…という事で、それが叶う特殊な機械↓を「シャープ」と共同開発。
2018年の「サロン・デュ・ショコラ」では、名だたるショコラティエから「自分も使いたい」「機械を譲ってほしい」という申し出が相次ぐなど、世界を驚かせました。
2019年は実用化を進める為、機械を小型化。
チョコレート業界に、新しい提案をしました。
番組ではその他、インドネシアでカカオの実をチェックする吉野さんの様子などもレポート。
チョコレート作りにかける情熱を紹介しました。