このページでは、ビーントゥバー(Bean to Bar)の意味を解説します。
ビーントゥバーとは、チョコレートの作り方、製法の1つ。
「ビーン(豆)からバー(板チョコ)」の単語があらわす通り、「原料であるカカオ豆の選定から自社で一貫して行う」という製法で、これは、「一般的なチョコレート専門店が、すでにチョコレート生地として出来上がった製菓用のクーベルチュールをメーカーから購入する」のに対して、かなり珍しい作り方だと言えます。
チョコレート商品の製造者(ショコラティエetc)が、自分の好きな配合や製法でチョコレート生地をつくる事が出来る…といった面白さや、シングルビーン(ブレンドしない単一産地の)チョコレートを味わう機会が増えたことによる、カカオ豆自体の特性が注目される流れが生まれた事などにより、近年、チョコレート好きの間では大変話題になっています。
ビーントゥバー ブームの背景
チョコレート界において、ここ数年、大変なブームになっている「ビーントゥバー」。
そのブームの始まりは、コーヒー豆を産地から厳選するサードウェーブが話題になり始めたのと同じころ。2000年代にアメリカから、と言われています。
小さな爆発は2007年、NYのブランド「マストブラザーズチョコレート」の創業。その時点でそういった「クラフトチョコレート」メーカーは数社でしたが、その約2年後、2009年ごろにはトレンドに。
現在、その数は、どんどんと増えており、そのブームは日本(詳細後述)にも。
ビーントゥバーの面白さとは
ビーントゥバーで作られるチョコレートは、前述の通り、その多くが、単一産地のカカオ豆(シングルオリジン)を使って作られています。
そのため、カカオ自体が持つ風味をダイレクトに味わえる…といった面白さがあります。
産地のよっての味の違い、また、発酵や焙煎の時間や方法によっても、それは様々に変化します。
なんと、そのカカオの木の周りに植えられていた植物によっても、味が変わるんですって!
チョコレート自体を、単なる「菓子」としてではなく「嗜好品」として楽しめるわけですね。
また、「チョコレートの原料がカカオ」である事と、その産地を一般消費者に広く意識させることで、その生産者への支援、フェアトレードなどの活動にもつながるといったメリットも。
日本にも広がるビーントゥバー
2010年を過ぎるころには、日本にも、ポツポツとビーントゥバーのショコラトリーが登場します。
そしてそれが知られる大きなきっかけが、2014年創業の「ミニマル」が「ビーントゥバー」という言葉を全面に押し出し、PRしたこと。
スイーツ関係のメディアがこぞって取り上げたため、日本での「ビーントゥバー」の認知度は大きく上がりました。
その後、「ダンデライオンチョコレート」が上陸、そのほか、「グリーンビーントゥバー」、「バニラビーンズ」なども有名です。
また、首都圏だけでなく、サタデイズ チョコレート(北海道)、コンチェ(静岡)、ダリケー(京都)、Ichiji(神戸)、33.8グッドカカオ(愛媛)、ウシオ チョコラトル(広島)、ナナイロ(島根)、カカオ研究所(福岡)、タイムレス チョコレート(沖縄)など、地方にも多くのショコラトリーが。
さらなる潮流?時代は「ファームトゥバー」へ
そして2017年、「ビーントゥバー」のブームはさらに進化し、「ファームトゥバー」へ。
そう、カカオ豆(ビーン)からではなく、それ以前、カカオ豆が出来る農園(ファーム)から関わるというスタイルです。
それは農業指導といった側面だけでなく、ショコラティエ自身が、より、カカオのことを知ろうと、発展途上の国へ自ら足を運び、さまざまなインスピレーションを得るといった意味合いも含みます。
*写真はパリで30年以上店を構えるチョコレート職人パトリス・シャポン。
これからの、また新しいカタチのチョコレートが楽しみですね!